泉南市立小中学校再編計画<複数案>(2021年10月)について

泉南市立小中学校再編計画<複数案>

泉南市教育委員会では、2021年10月に泉南市立小中学校再編計画<複数案>を作成しました。

これまで、2020年12月に泉南市立小中学校再編計画<複数原案>において再編案4案を作成し、リーフレット(概要版)の全戸配布、ホームページ・SNSでの配信、アンケートの実施、全ての小中学校での住民説明会の開催などを通じて、市民に御説明し、御意見を拝聴してまいりました。

泉南市立小中学校再編計画<複数案>は、それらの御意見を取り入れて再度議論し、3案にまとめ直したものです。今後、泉南市教育問題審議会において御審議をいただく予定となっています。

泉南市立小中学校再編計画<複数案>のアンケート結果について

令和4(2022)年4月から実施しました泉南市立小中学校再編計画<複数案>アンケート結果を取りまとめました。内容は、下記リンクから確認してください。
 

泉南市立小中学校再編計画<複数案>の説明動画

泉南市立小中学校再編計画<複数案>の説明動画を作成しましたので、ご覧ください。

せんなん教育ニュース(2022年2月)

令和4(2022)年2月にせんなん教育ニュースを発行し、広報せんなん令和4年2月号に折込み配布しました。

せんなん教育ニュースには、泉南市立小中学校再編計画<複数案>の概要や泉南市の目指す教育、小中一貫教育について掲載していますので、ご覧ください。

住民説明会での意見交換会の内容について

2021年7月から8月に、泉南市立小中学校再編計画<複数原案>について、市内の14小中学校において学校再編住民説明会を開催しました。

学校再編住民説明会の意見交換会の内容をまとめましたので掲載します。

泉南市立小中学校再編計画<複数原案>のアンケート結果について

2021年4月から泉南市立小中学校再編計画<複数原案>について、次の方を対象にアンケートを実施しました。

アンケート結果を取りまとめましたので掲載します。

  1. 市民保護者アンケート(実施期間:2021年4月9日から同年9月3日まで)
  2. 教職員アンケート(実施期間:2021年4月9日から同年9月3日まで)
  3. 児童生徒アンケート(実施期間:2021年6月15日から同年7月2日まで)

泉南市立小中学校再編計画<複数原案>について

令和2(2020)年12月に作成しました、泉南市立小中学校再編計画<複数原案>のページについては、下記リンクからご確認ください。

泉南市立小中学校再編計画<複数案>

2021年10月に作成した泉南市立小中学校再編計画<複数案>(PDF:7MB)の内容を掲載します。

表紙

この計画は、泉南市教育委員会が作成した泉南市立小中学校の再編計画<複数案>です。
<複数原案>の再編案4案をもとに、市民の御意見を反映した3案としました。
大切な子どもたちに、将来にわたる充実した教育環境を提供するため、皆様の御協力をお願いします。
令和3(2021)年10月27日
泉南市教育委員会

目次

はじめに

  1. 泉南市が目指す教育
  2. 小中一貫教育について
  3. 新しい時代の学校施設
  4. 再編の必要性と多くの課題
  5. 優先すべき事項
  6. 3つの再編案(A・A2・新B案)
  7. 再編案のメリットとデメリット
  8. 再編に向けたスケジュール

参考資料

はじめに

次の時代の担い手である泉南市の子どもたち一人ひとりの健全な育成は、社会の最優先事項であり、私たちの重大な責務です。泉南市では、現在、泉南市教育大綱等に基づき、子どもたちに小中一貫教育を始め、ICT教育、国際化教育などの特色ある豊かな教育の実施に努めています。

しかし、泉南市における小中学校14校の施設の多くが老朽化し、建替えの時期を迎えています。また、少子化により本市の児童生徒数は毎年少しずつ減少しており、同級生の少ない単学級の学校が多く存在します。こうしたことから、泉南市では、今後も子どもたちに安全・安心で素晴らしい教育環境を提供するために、計画的で大規模な学校の新築・再編を検討しています。

そのため、泉南市教育委員会では、令和2(2020)年12月に泉南市立小中学校再編計画<複数原案>において再編案4案を作成し、リーフレット(概要版)の全戸配布、ホームページ・SNSでの配信、アンケートの実施、全ての小中学校での住民説明会の開催などを通じて、市民に御説明し、御意見を拝聴してまいりました。

この<複数案>は、それらの御意見を取り入れて再度議論し、3案にまとめ直したものです。今後、この<複数案>をもとに、泉南市教育問題審議会において御審議をいただく予定となっています。

もとより学校施設は、地域にとって重要なシンボルであり宝物です。また、歴史や思い出の詰まった学校がなくなってしまうことは、多くの市民の心を揺さぶるでしょう。

しかしながら、私たちは、困難を乗り越え、知恵を出し合い、合意に至ることができるはずです。なぜなら、私たちは、そのような困難を克服して、素晴らしい学校を提供してくれた先人たちが大切に育んできた後継者だからです。

令和3(2021)年10月27日

泉南市教育委員会教育長 古川 聖登

1.泉南市が目指す教育

希望 と 力 をもち たくましく生き抜く 子ども

これが、私たちのまちが目指す子ども像です。

変化が激しい現代社会の中でも、いつも「希望」をもち、「たくましく生き抜いて」ほしいのです。そのためのいろんな「力」を身に付けてほしいのです。

そのために、私たちは、教育方針や計画を作成するとともに、教育環境などが常によりよい状態であるよう努めなければなりません。

泉南市教育委員会は、これまで各種の会議等において議論を重ね、有識者や市民の御意見を取り入れながら、行うべき教育の方向性を定めてきました。

その方向性の中心が、「 泉南市教育大綱 」です。

「泉南市教育大綱」は、泉南市の教育の目標や施策の根本的な方針を定めたものです。現在の大綱(第2次)は、「皆で育む大いなる希望」と副題を付し、泉南市が目指す6つの基本方針を定めています(令和2~令和4年度)。

特に、「関空のまち」である泉南市では、子どもたちが国際的な感覚や語学力を身につけられるような特色ある教育を、就学前から小・中学校に至るまでの関係者の一貫した連携のもと、必要な施設や設備等の環境の整備を行いながら推進するとしています。

また、「 泉南市教育振興基本計画 」は、教育の振興のための施策に関する基本的な計画であり、現状分析によって、市が直面する教育課題をまとめるとともに、泉南市教育大綱(第2次)と基本方針を共通化することにより、より実効性を確保しようとするものです(令和2~令和4年度)。関係者間で「目指す子ども像」及び「基本理念」を共有し、連携して、具体的な目標を定めつつ進めています。

【目指す子ども像】

『希望と力をもちたくましく生き抜く子ども』

  • 希望をもち、現実の困難を乗り越えるたくましい子ども
  • 確かな学力、豊かな人間性、健康・体力をバランスよく備えた子ども
  • グローバル社会を生き抜く語学力とコミュニケーション能力をもつ子ども

【基本理念】

皆で育む「大いなる希望」― つながりを力にして ―

さらに、毎年度「泉南市教育重点施策」を作成し、特に力を入れて実施する教育施策をピックアップしています。

令和3年度泉南市教育重点施策(SEPP(セップ)2021)では、1.国際化教育、2.ICT教育、3.小中一貫教育、4.教職員研修、の4施策を重点としました。

1.の国際化教育については、国のJETプログラムにより外国人青年を泉南市に招き、令和3年末には全ての小学校・中学校(計14校)に、ALT(外国語指導助手)を配置する予定です。このほかにも、日本語が特に上手なCIR(国際交流員)が3人、SEA(スポーツ国際交流員)が2人(野球、サッカー)泉南市に来てくれます(合計23人を予定)。幼稚園等や市民を含め、全市的に推進しています。【令和3年10月末時点】

2.のICT教育については、国の「GIGAスクール構想」に沿って、市内の全小中学生に1人1台のタブレット端末(iPad)を貸与して授業を行っています。さらに、無線LANや大型モニター等も整備しました。

4.の教職員研修については、コロナ禍の中、ICTを活用し効率的に実施しています。

そして、もう一つ泉南市の教育施策の重要な柱が、3.の小中一貫教育です。

泉南市の小中一貫教育では、教育の内容や方法とともに、それを実現するための施設についても方向性を定めています。

そのもととなったのが、平成29(2017)年の泉南市教育問題審議会の答申であり、それを受けて方針が決まり、この「泉南市立小中学校再編計画」の作成につながっているのです。

小中一貫教育については、次の「2.小中一貫教育について」で詳述します。

これまで述べた泉南市の教育施策については、泉南市ウェブサイトに載せていますので、是非御一読ください。

泉南市教育委員会各種計画

2.小中一貫教育について

小中一貫教育は、泉南市の教育方針の柱の一つであり、再編計画の考え方の基軸です。

ここでは、(1)泉南市教育問題審議会答申、(2)泉南市が推進する小中一貫教育について御説明します。

(1)泉南市教育問題審議会答申

平成28(2016)年、泉南市教育委員会は、「泉南市教育振興基本計画の理念実現を図る学校規模適正化を含めた学校の在り方検討」について泉南市教育問題審議会へ諮問し、平成29(2017)年に答申があり、次の2つの方針が示されました。

【方針】
  • 泉南市の子どもたちの生きる力と確かな学力を育成するため、今後40年間を目途に、児童生徒数の推移、建物の耐用年数等を踏まえた上で、すべての小学校と中学校を小中一貫校とすることをめざす。
  • 小中一貫校には「施設一体型」「1対1の施設分離型」「1対多の施設分離型」の形があるが、今後、めざす小中一貫校の具体的な形をはじめとするその在り方については、学校数や校区の在り様も含めて、答申後、丁寧に時間をかけて、地域住民や保護者等の意見を聴きながら市において計画を立てることとする。

なお、答申における小中一貫校、小中一貫教育とは「小中一貫校とは小中一貫教育を推進する学校であり、小中一貫教育とは小・中学校がめざす子ども像を共有し、9年間を通じた教育課程を編成し、系統的な教育を目指す教育である」としています。

また、今後具体的な学校の在り方を計画するに当たって、次の1~4の4点をベースに検討を進めること、5・6の2点については十分留意する必要があると示されました。

  1. 学校規模
  2. 児童生徒数の動向
  3. 耐用年数との関係
  4. 教育コミュニティ
  5. 調整区の解消
  6. 地域住民、保護者等の意見を聴く

(2)泉南市が推進する小中一貫教育について

1) これからの教育の流れ

人工知能(AI)やビッグデータなど先端技術が高度化し、今後Society5.0時代(後段で詳述)が到来し、社会の在り方そのものがこれまでとは「非連続」と言えるほど劇的に変わるとされています。また少子高齢化や人口減少が急速に進行し、さらには新型コロナウイルス感染症による影響も相まって、教育を取り巻く環境は大きく変わっています。

2) 泉南市の教育の目指す方向性 ―つながりを力にして―

本市の子どもたちの特徴として「自らを肯定的に受けとめる」ことに関して、比較的多くの子どもたちが控えめな回答をするという傾向があります(注1)。また、子どもたちの社会経済的背景が学力やその他の生活に深く関与していることが明らかとされています(注2)。
私たちは、全ての子どもが生まれた環境にかかわらず、自身の多様な生き方を選択していってほしいと願っています。
そのためには、自らを肯定的に捉え、主張をもち、他者と“つながる”ために、状況に応じて自身の考えを取りまとめる力量を高めていく必要があります。

(注1)各年度の全国学力・学習状況調査(質問紙調査)から。

(注2)「平成25年度全国学力・学習状況調査(きめ細かい調査)の結果を活用した学力に影響を与える要因分析に関する調査研究」(国立大学法品お茶の水女子大学、文部科学省委託研究)。

3) 子どもの育ちと学びの連続性をつくる

泉南市では半世紀以上前から子どもの育ちと学びを連続して保障しようとする取組を展開してきました。保育所、認定こども園、幼稚園、小学校、中学校の関係者が保育教育内容を協議し、連続性のある教育内容や教育環境の構築に取り組んできました。
さらに平成23(2011)年度以降はキャリア教育の推進を通じて、中学校区ごとに「目指す子ども像(二十歳)」の作成をはじめ全体指導計画を作るなど、全市的に取組を進めてきました。
しかし、そうした取組を通じても、克服できないことがあります。それは、就学前機関、小学校、中学校それぞれの保育教育機関が持つ“教育観”や“教育方針”の違いから生まれるものだと考えています。子どもたちが小学校から中学校に進学した際に“戸惑い”を感じるといったことは、これまでの連携では全ては解消できませんでした。

4) 9年間を通じた育ちと学びを保障する―小中一貫教育の選択―

こうした課題を少しでも減らし、子どもたちの育ちと学びの保障を強固なものとするためには、関係者が育ちと学びを共有することが重要です。
泉南市では、子どもたちがこれからの社会の中でしっかりと自分を主張し、様々な人と“つながる”ために「つけたい力(どのような力をつけたいのか)」を明確なものとし、学校、保護者、地域で子どもたちの育ちと学びの連続性を保障する小中一貫教育を選択しました(注3)。
また、「誰のための、何のための小中一貫教育なのか」を基軸として、各中学校区で義務教育の9年間を通じた教育課程を編成し、それを実践できる小中一貫校を構築していきます。

(注3)泉南市教育問題審議会平成29年3月答申に基づき、同年5月泉南市総合教育会議で決定。

5) 小中一貫教育を実現するために

1. 豊かな心と確かな学び―子どもをつなぐ、学びをつなぐ―

  • 人権教育 泉南市では発達段階に応じ、出会いや参加型学習を行うことにより、個々の“気づきや発見”により人権意識を醸成し、偏見や差別に立ち向かう行動ができる人格の育成を目指します。
  • 生徒指導 9年間の連続した指導で、学校における生活面、学習面の小中学校の“ちがい”を緩和することで、子どもに安心感を与え安定した学校環境をつくります。
  • 各教科の力をつける ICT機器を活用し、“つながり”のある指導方法を構築することにより、子どもが着実に力をつけていく筋道をつくります。
  • 道徳教育 子どもたちが自分自身で考え論議することを通じて、規範意識や自他を尊重する心を育てます。
  • 外国語教育 外国語(英語)によるコミュニケーション力だけでなく、ALTたちの母国の文化に触れる機会を持ち、子どもたちの世界観や価値観などを広げることを大切にします。
  • 支援教育 一人ひとりの特性や教育的ニーズを踏まえて、地域の学校でともに育ちともに学ぶ教育を9年間通じて大切にします。

2. 家庭・地域・就学前機関とつながる

  • 家庭とつながる 家庭で子どもが学びに向き合う時間や就寝時間の確保など、しっかりと物事に取り組める心身を培うために規則正しい生活リズムを身につけることができるよう学校と家庭での働きかけを考えます。
  • 地域とつながる 子どもを核にした“地域コミュニティ”づくりの場として学校を活用し、学校が地域の活性化の一翼を担うことを目指します。
  • 就学前機関とのつながり “目指す子ども像”を共有するとともに、実際の子どもたちとも共有して、保育教育内容の連続性があるものとして、小中学校との連携・協力を推進します。

6) 教育コミュニティづくり―調整区を解消します―

学校再編計画の推進に伴い、新しい学校づくりに向けては、学校、地域、地域社会における様々な人々が“対話と協働”により、学校施設づくりに向けて異なる学校区の住民間の交流を深め人の“つながり”を構築する必要があります。また、この学校再編計画に基づいて建設される施設は、学校教育だけに活用するものではありません、地域のニーズに応じ、様々な活動の拠点となることも想定しておく必要があります。
泉南市では、第5次泉南市総合計画にも示されているように、市民一人ひとりが大切にされる人権文化のまちづくりが進められています。これまでに積み上げられてきた各地域の文化を尊重し“ちがい”を受けとめながら、“対話と協働”を基盤とする学校施設づくりの中で、現行の調整区を解消することとします。

7) 学校再編に伴う柔軟な学校区制度

新たにできる小中一貫教育を実現する学校には、学校を起点として通学距離を元にした“指定校制度”を設定します。しかしながら、居住地による指定校よりも隣接する学校の方が通学距離が短いなど、子どもの通学の安全性から「指定校を変更した方が良い」とされる場合は、柔軟に指定校を変更できるようにします。
他にも、新たな特認校制度の導入、中学校の部活動の入部に関することなど、子どものニーズに応じた柔軟な学校区制度をつくります。

8) 泉南市の小中一貫校の類型

小中一貫校(小中一貫教育を行う学校)には、施設の形態としては、一体型、分離型、併設型が考えられます。また、法令上、小学校・中学校によるものと、義務教育学校の2種類があります。そこで、この度、下記のように再整理しました。

【コラム 泉南市の小中一貫校の類型】

小中一貫教育を進める小中一貫校は、学校校舎の立地によっておおきく三つの類型に分かれます。1~3が組み合わされることも考えられます。

1.一体型泉南市小中一体型イメージ

  • 小中一体校 小学校と中学校の校舎を同一敷地内に同一施設 (2つの校舎を渡り廊下等で連結することも含む)とすることにより、系統的な教育の実践を目指す小中一貫校です。組織的には、小学校と中学校の2校ですが、「学園」と称することもあります(10ページ参照)
  • 義務教育学校 小学校課程から中学校課程までの9年間を一貫して行う小中一貫校です。校長は1人となります。

2.分離型泉南市小中分離型イメージ

小学校と中学校の敷地が別々で離れていても、中学校区の グループ内において教員や児童生徒が連携して学習したり活動したりする小中一貫校です。

3.併設型泉南市小中併設校イメージ

一体型ではないが、小学校と中学校の校舎を同一敷地内に併設している小中一貫校です。児童生徒の交流を容易にすることによって系統的な教育を目指し、より密接な連携学習や活動を推進することができます。

泉南市では、最も小中一貫教育が行いやすい「小中一体校」への再編を原則としますが、児童生徒数が比較的コンパクトな学校の場合には「義務教育学校」を選択しても良いと考えます。
また、地域の実情等を総合的に考えて「分離型」や「併設型」それらの組み合わせなどについても柔軟に検討します。

9) 小中一体校等の具体的なイメージ

全国的に施設一体型の小中一体校や義務教育学校の建築が盛んです。
その多くが9年間の育ちと学びを見通した継続、連続した生活指導・学習指導を目指して、目的に応じた柔軟で効果的な設定が行われています(注4)。

(注4)義務教育学校は令和2年8月現在、令和元年度よりも32校増加(うち国立4校、公立27校、私立1校)し、126校に。

1.新潟県三条市立三条嵐南学園(第一中学校、嵐南小学校)

新潟県三条市立三条嵐南学園(第一中学校、嵐南小学校)

2.大阪府和泉市立南松尾はつが野学園(義務教育学校)

大阪府和泉市立南松尾はつが野学園(義務教育学校)

3.新しい時代の学校施設

泉南市の新しい学校施設は、どのようなものになっていくでしょうか。

文部科学省では、Society5.0(注5)やポストコロナ社会を見据えて、GIGAスクール構想による1人1台端末などのICT環境の整備を進め、また少人数学級により学びの在り方が大きく変わろうとする中で、「新しい時代の学びに対応した学校施設の在り方について」検討を進めており、令和3(2021)年8月に中間報告が行われました。

その中では、子どもたちにとって「明日また行きたい学校」となるために、また集う人々にとっても「生き生きと輝く学校」となるために、実空間の価値を捉え直し、学校全体を学びの場として創造するという「未来思考」の視点が示されています。

泉南市においても、この視点と議論の進捗を注視しつつ、学校再編に際しては、こうした「新しい時代の学びを実現する学校施設の在り方」等を参考として、学校施設の検討を行います。

(注5)Society5.0とは、サイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)を高度に融合させたシステムにより、経済発展と社会的課題の解決を両立する人間中心の社会(Society)です。狩猟社会(Society 1.0)、農耕社会(Society 2.0)、工業社会(Society 3.0)、情報社会(Society 4.0)に続く、新たな社会を指すもので、第5期科学技術基本計画において我が国が目指すべき未来社会の姿として初めて提唱されました。

新しい時代の学校施設(学び・生活・共創)

(1)横断的、多目的な学びに対応できる、柔軟で創造的な学びの空間

  • 学校施設全体を学びの場として捉え、階段状の空間でさえもステージやプロジェクタ等を備えた発表、表現の場として活用
  • 学校図書館とコンピューター教室を組み合わせて、読書、学習、情報のセンターとなる「ラーニング・コモンズ(注6)」として活用
  • 教材を製作する空間(スタジオ)、情報交換や休息ができる空間(ラウンジ)など、教職員が業務を円滑に行える執務空間を実現

(注6)ラーニング・コモンズとは、情報を知識に、知識を創造に変えていく空間です。さまざまなヒト・モノ・コト・情報と出会い、それらを仲間とともに議論し展開していくことで、新しい学びの可能性を生み出していきます。

(2)新しい生活様式を踏まえた健やかな学習・生活空間

  • 子どもたちの居場所となる小空間・ベンチ等の配置や木材を活用して温かみと潤いのあるリビング空間として実現
  • 断熱性能を高め空調設備が設置された体育館を、大人数での多様な活動が展開できる大空間として活用

(3)地域や社会と連携・協働し、ともに創造する共創空間

  • 地域コミュニティの拠点として、地域や社会の人たちと連携・協働し、ともに創造的な活動が展開できる共創空間を整備
  • 他の公共施設(図書館等)との複合化・共用化を図り、多様な「知」を集積する共創空間を創出

(4)子どもたちの生命を守る、安全・安心な教育環境

  • 地域の避難所として、災害時要配慮者など多様な人々が利用しやすいよう配慮するとともに、防災拠点としての機能の充実・強化を図り、安全・安心な教育環境を確保

(5)持続可能な教育環境

  • 屋根や外壁の高断熱化や高効率照明などの省エネルギー化、太陽光発電設備の導入などにより、持続可能な教育環境を創出
  • 環境と地域との共生の観点から、学校における木材利用(室内木質化等)の検討

令和元(2019)年度に新築した泉南市立泉南中学校(校舎・メディアセンター)

令和元(2019)年度に新築した泉南市立泉南中学校(校舎・メディアセンター)

4.再編の必要性と多くの課題

泉南市教育委員会では、新しい時代のニーズに応じた優れた学校群を構築するために、多くの課題(順不同)について、優先度を見極めつつ、総合的に検討を進めます。

(1)施設の老朽化(建築年数)

市内のほとんどの学校施設は老朽化が進み、「待ったなし」の状態にある施設が年々増加しつつあります。子どもや教職員の安全・安心の見地からも、老朽化が著しい施設を優先的に建て替えていく必要があります。

(2)人口減少(学級数、児童生徒数の推移)

今後、学校の小規模校化と単学級化が確実に進むことが予測されます。単学級では、教育上の様々なデメリットがあると指摘されており、原則として国が示す1学年2~3学級(小学校)を標準として一定の学級数を確保する必要があります。また、大規模校になることも避けなければなりません。

(3)小中一貫教育

本市は、これまでも小中一貫教育の取組を中学校区単位の小中学校で進めており、学校再編に際し、小中一貫教育を推進しやすい施設(小中一体校や義務教育学校など)を検討します。小中一体校の場合、サブグラウンド設置や体育館の複層化等も可能な限り検討しますが、総合的な判断から、小中の校舎が別となる場合でも、分離型や併設型の小中一貫校として小中一貫教育を推進してまいります。

(4)新しい時代に求められる機能

新しい時代に求められる学校施設は、ICT機能、特別支援教育が行いやすい教室、公民館や留守家庭児童会などの合築などの工夫を行うことが考えられます。また、外国語専用教室などを設けるなど、教科センター方式の研究から学んだ教科教育の強化策を設計に生かすことも考えられます。

(5)調整区解消

学校の学校区再編に当たっては、それぞれの調整区をめぐる課題を踏まえ、その解消に向けた計画となるようにします。

(6)特認校・柔軟な学校区設定

東小学校が特認校として一定の優れた成果が見られるため、特認校のニーズが大きくなりつつあることも考慮する必要があります。そのため、学校区指定の際に、地理的な面、交通上の面、不登校の面などを考慮し、柔軟に学校を選べるようにすることを検討します。

(7)通学距離・バス・通学路整備

学校再編を検討する際には、国が示す通学距離の基準(小学校4キロメートル以内、中学校6キロメートル以内)であっても、通学困難と考えられる場合には、通学バス又は路線バスによる通学の検討が必要となります。また、通学ルートが変わる場合は、安全等の観点からも慎重な検討も必要です(バス通学検討範囲は、各再編案の図中に表示)。

(8)新築と改修の併用

1つの学校を建設するためにはおおむね5年程度かかります。その間の子どもたちの教育を最優先に考えると、学校の新築を進めつつ、既存施設の改修を含めた学校再編案が必要です。

(9)財政(国、府の動向を含む)

学校建築には巨額の建設費がかかるため、コロナ禍による税収減少や人口減、さらに増え続ける公共施設の維持管理費等を考慮すると、短期集中的な学校建設は財政的に厳しい状況です。そのため長期的な財政見通しの下、新築と改修を織り交ぜながら、シミュレーションした上で学校再編計画を作ることが必要です。

(10)市域におけるバランス・発展的なまちづくり

従来の中学校区単位での教育コミュニティを考慮し、学校配置に際しては、市のまちづくりの基本構想に沿うよう、全体のバランスを考慮する必要があります。学校施設だけではなく、学校へのアクセス道路の整備や跡地の活用なども含め、発展的なまちづくりに寄与することが必要です。

(11)町村合併の歴史、地域コミュニティの中核としての役割

これからの学校施設は、子どもの育ちに関わるパートナーとして地域コミュニティとの協働が不可欠で、公民館や集会場機能を併せ持ち、人々が集まる地域の核となることが重要です。今後の学校施設は、多機能な公共施設として市のまちづくりと密接に関わることが求められているのです。

(12)留守家庭児童会(学童保育)施設の合築

働く女性の増加により、以前にも増して学童保育のニーズが高まっています。現在、本市では校地内に別棟を増設したり空き教室を利用したりしていますが、この度の学校再編に際して、動線を分けつつ学童保育施設の合築を検討してまいります。

(13)防災機能(防災拠点)

学校施設は、災害時には地域の避難所としての役割も担っています。学校新築に際しては、地域住民だけではなく、災害時要配慮者など多様な人々が利用しやすいよう配慮するとともに、防災拠点としての機能の充実・強化を図っていく必要があります。

(14)広域連携

全国的に人口減少が加速する中で、基礎自治体として行政サービスを維持していくためには、今後、他の自治体と広域連携を検討する可能性があります。そのため、広域的な視点も含めて学校配置を検討しつつ、各学校が独自性を発揮できるよう、新たな価値を付加していく必要があります。

(15)感染症への対応

新型コロナウイルス感染症の世界的な感染拡大により、本市においても休校や分散登校などの対応を余儀なくされた経験を踏まえ、そのような状況にも柔軟に対応できるよう教室の広さや配置などを考慮する必要があります。

(16)施設跡地の活用

学校再編に伴い生じる施設跡地については、他部局とも連携して利活用を探ります。例えば、1.地域の避難所、2.民間企業等へ売却、3.新たな校地取得の代替地、4.スポーツ施設として再活用、5.住宅地や企業用地、6.防災拠点、7.新たな公共施設、8.スポーツ合宿施設、9.企業団地、10.学校のサブグラウンド、11.公園、12.新たな観光地などが考えられます。

(17)その他の課題

上記のほか、地域や学校の特殊事情を総合的にしんしゃくして学校再編計画を作成することが求められます。

タブレット、大型モニター、無線LANなどICT化が進む教室(泉南市立雄信小学校)

タブレット、大型モニター、無線LANなどICT化が進む教室(泉南市立雄信小学校)

5.優先すべき事項

前記「4.再編の必要性と多くの課題」を解消し、全ての市民が満足する学校再編計画は存在しません。
したがって、今回、学校再編計画の作成に当たって、特に次に掲げる事項を優先して、検討を進めていきます。

学校再編の課題と優先すべき事項

【優先事項】
  • 古い学校施設から着手
  • 単学級の解消
  • 防災上の視点
  • 特認校・学区制柔軟化など複数の学校選択を保証
  • 調整区の解消

6.3つの再編案(A・A2・新B案)

泉南市立小中学校再編計画<複数原案>に示した再編案A案、B案、C案、D案をもとにして、同<複数案>ではA案、A2案、新B案を作成しました。

(1)本学校再編案で示す学校名称は、いずれも「仮称」です。

(2)今後の検討過程において、複数案が融合した計画となる可能性もあります。あわせて、バス通学等について検討を行います。

(3)計画期間中において社会情勢や児童生徒数の変化が著しく、本計画をそのまま実行することが難しいと判断したときは、一定の手続のもと計画の見直しを行います。

(4)新築や部分改修(一部新築)を行うまで相当期間を要する学校施設、すなわち
現状施設を継続使用する学校については、適宜改修等を施すこととします。

泉南市内の小中学校位置図

(5)就学予定校が学校再編等の影響を受けず変更されない(既存校の建替え等)場合、市民への周知・準備期間はその工事等に必要な最短期間を想定します。一方、就学予定校が現状から変更となる場合は、市民への周知のために計画決定からおおむね5~6年を準備・猶予期間として見込むこととします。

(6)東小学校は、学校規模や校区の環境を特性とした特認校制度を導入していますが、各期において在り方を検討します。

(7)1つの学校施設(小中一体校を含む)を新築するためには、おおむね5年間かかると見込んでいます。

(8)計画中の各期をおおむね10年間とし、1期から4期までの計画とします。

  • 次のA・A2・新B案の副題は、現在と比較しやすいように義務教育学校を小学校と中学校に数えて表示しました。
  • 時期に記載している年度は目安で、前後することがあります。
  • 学校の名称はいずれも仮称です。

A案(4中学校5小学校案)

A案(4中学校5小学校案)

A案の各期末における学校位置図

A案の各期末における学校位置図

A案の4期完了時における学校位置図

A案の4期完了時における学校位置図

  • A案は、現在の4中学校区を残し、義務教育学校(9学年制)を1校、小中一体校を3つ(3中3小)新築することを基本とする案です。
  • 現在の学校区をできるだけ存続しつつ、4駅に近く、跡地利用による新たな発展も視野に入れています。
  • 西信達エリアは、小中学校の老朽化が著しいため、西信達中学校敷地等に義務教育学校(9学年制)を新築します。
  • 新家エリアは、3つの小学校(新家小、新家東小、一丘小)を統合し、第3期に小中一体校(1中1小)を新築し、砂川小を新家小に統合するとともに、一丘中を移転します。
  • 泉南中学校区の小学校(樽井小、鳴滝小、雄信小)は、泉南中学校の敷地等に新たな小学校を新築します。
  • 信達エリアは、信達小学校の敷地等に信達中学校を移転し、小中一体校(1中1小)を新築します。
  • 東小学校は、学校規模や校区の環境を特性とした特認校制度を導入していますが、各期において在り方を検討します。

A2案(4中学校5小学校案その2)

A2案(4中学校5小学校案その2)

A2案の各期末における学校位置図

A2案の各期末における学校位置図

A2案の4期完了時における学校位置図

A2案の4期完了時における学校位置図

  • A2案は、現在の4中学校区を残し、義務教育学校(9学年制)を1校、小中一体校を3つ(3中3小)新築することを基本とする案です。
  • 現在の学校区をできるだけ存続しつつ、4駅に近く、跡地利用による新たな発展も視野に入れています。
  • 西信達エリアは、小中学校の老朽化が著しいため、西信達中学校敷地等に義務教育学校(9学年制)を新築します。
  • 新家エリアは、3つの小学校(新家小、新家東小、一丘小)を統合し、第3期後半から小中一体校(1中1小)を新築し、砂川小を新家小に統合するとともに、一丘中を移転します。
  • 信達エリアは、第2期に老朽化が進んでいる信達小学校校舎部分(体育館を除く)の新築を行います。第4.期の後半から信達中学校を信達小学校敷地に新築・移転し、小中一体校(1中1小)とします。
  • 泉南中学校区の小学校(樽井小、鳴滝小、雄信小)は、泉南中学校の敷地等に新たな小学校を建設します。
  • 東小学校は、学校規模や校区の環境を特性とした特認校制度を導入していますが、各期において在り方を検討します。

新B案(3中学校5小学校案)

新B案(3中学校5小学校案)

新B案の各期末における学校位置図

新B案の各期末における学校位置図

新B案の4期完了時における学校位置図

新B案の4期完了時における学校位置図

  • 新B案は、泉南中エリアと信達中エリアを統合し、最終的に義務教育学校(9学年制)を1校、小中一体校を1つ(1中1小)、1対多の施設分離型の小中一貫校(1中2小)を新築することを基本とする案です。
  • 10年以内には新たに入学する子どもの人数が400人程度となるため、4中学校から3中学校に縮小するものです。
  • 西信達エリアは、小中学校の老朽化が著しいため、西信達中学校敷地等に義務教育学校(9学年制)を新築します。
  • 新家エリアは、3つの小学校(新家小、新家東小、一丘小)を統合し、第3期後半から小中一体校(1中1小)を新築し、砂川小を新家小に統合するとともに、一丘中を移転します。
  • 泉南・信達エリアは、第2期に老朽化が進んでいる信達小学校校舎部分(体育館を除く)を新築し、第3期に泉南中学校敷地等に樽井小、鳴滝小、雄信小を統合・新築します。また、第4期に信達中を泉南中に統合し、小中一貫校(1中2小)とします。その際、分離型又は併用型等の形態は柔軟に検討します。
  • 東小学校は、学校規模や校区の環境を特性とした特認校制度を導入していますが、各期において在り方を検討します。

7.再編案のメリットとデメリット

再編案のメリットとデメリットについて、下表のようにまとめました。 

再編案のメリットとデメリット

  メリット デメリット
A案
  • 現状の各中学校区は、おおむね存続可能
  • 全ての小中一貫校となるため、小中一貫教育を進めやすい。
  • 調整区が解消される。
  • 早期に西信達地区の避難施設ができる。
  • 西信達地区への特認校新設の検討容易。
  • バス通学がほぼ生じない。
  • 西信達校区の今後の児童生徒数の推移が懸念される(ただし、周辺再開発により地域浮揚につながりうる)。
  • 将来的に中学校4校必要か再検討が必要。
  • 泉南小中と信達小中が近接しており、配置バランス面で課題。
  • 信達小学校の改修が限定的になる。
A2案
  • 現状の各中学校区は、おおむね存続可能
  • 全て小中一貫校となるため、小中一貫教育を進めやすい。
  • 調整区が解消される。
  • 早期に西信達地区の避難施設ができる。
  • 西信達地区への特認校新設の検討容易。
  • 老朽化が進む信達小学校が早期に整備できる。
  • バス通学がほぼ生じない。
  • 西信達校区の今後の児童生徒数の推移が懸念される(ただし、周辺再開発により地域浮揚につながりうる)。
  • 将来的に中学校4校必要か再検討が必要。
  • 泉南小中と信達小中が近接しており、配置バランス面で課題。
  • 信達小学校以降の学校への着手が遅くなる。
  • 全ての学校を完了するための期間が最も長くなる。
新B案
  • 現4中学校区に小学校又は中学校を残すことができ、市域におけるバランスは比較的保たれる。
  • ほぼ小中学校が比較的近接しており、小中一貫教育を進めやすい。
  • 調整区が解消される。
  • 早期に西信達地区の避難施設ができる。
  • 西信達地区への特認校設定の検討容易。
  • 老朽化が進む信達小学校が早期に整備できる。
  • バス通学がほぼ生じない。
  • 西信達校区の今後の児童生徒数の推移が懸念される(ただし、周辺再開発により地域浮揚につながりうる)。
  • 信達小学校以降の学校への着手が遅くなる。
  • 同一中学校区(泉南中学校区)において小中一体型(又は併設)の小学校と分離型小学校との2つの小学校が生じる。

8.再編に向けたスケジュール

泉南市教育委員会では、学校再編計画の決定に向け、「小中一貫教育に向けての今後の進め方について」(平成29(2017)年5月泉南市総合教育会議決定)に基づいて、下記のとおり計画的に進めています。
コロナ禍等によりスケジュールをやむを得ず変更しましたが、予定どおり保護者や地域住民等に対し、より丁寧な説明・意見聴取を行った上で、泉南市教育問題審議会に諮り、成案としてまいります。

再編に向けたスケジュール
時期 現状の進捗・予定
平成29(2017)年度 総合教育会議「小中一貫教育に向けての今後の進め方」を決定
平成30(2018)年度 再編に向けての議論を開始
令和元(2019)年度 調査、「泉南市立小中学校再編計画<複数原案>」のたたき台を作成
令和2(2020)年度 「泉南市立小中学校再編計画<複数原案>」の作成に向けての議論を開始
12月 教育委員会会議で「泉南市立小中学校再編計画<複数原案>」を決定・公表
2月 「泉南市立小中学校再編計画<複数原案>」のリーフレット(概要版)の全戸配布
令和3(2021)年度
4-9月
各種アンケートの実施
7-8月 住民説明会実施(全14小中学校)
後半


 
「泉南市立小中学校再編計画<複数案>」の作成に向けての議論を開始
教育委員会で「泉南市立小中学校再編計画<複数案>」を決定
教育問題審議会への諮問、審議
令和4(2022)年度 教育問題審議会での審議、答申(一つの再編案へ)
前半 答申をもとに教育委員会で「泉南市立小中学校再編計画(案)」を決定
後半

 
パブリックコメントを実施
総合教育会議で「泉南市立小中学校再編計画」を決定
泉南市立小中学校再編計画に基づく学校建築、改修等に着手

参考資料

(1)泉南市内学校区図【令和3(2021)年度現在】

泉南市の学校校区図

(2)老朽化に関するデータ

泉南市の学校施設は、下表のとおり、泉南中学校を除いて全体として老朽化が進んでいます。いずれも耐震基準は満たしています。学校施設の耐用年数は一律には決められていませんが、文部科学省によれば、

  • 経年25年以上の施設は一般的に改修が必要
  • 経年45年以上を経過した未改修の建物は緊急的な老朽対策が必要

としており、泉南中学校を除く全ての校舎で改修や建替えが必要です。すでに本市の一部の学校において劣化による壁の剥落や雨漏りなどがみられ、児童生徒や教職員の安全面からも対策が急がれます。

泉南市立小中学校の概要

施設:令和3(2021)年3月1日現在/学級・児童生徒数:同年5月1日時点
泉南市立小中学校の概要

(3)少子化に関するデータ

泉南市の子どもの数は、次のページの表やグラフのとおり、年々減少しています。この傾向が続くと、近い将来、新入生は400人程度となり、小学校10校平均で40人程度(1クラス)、中学校4校区で考えると平均で100人程度(3クラス)となってしまいます。少子化は、人口減少に伴う全国的な現象であり、数年間程度では急激な増加は望めません。

泉南市の小中学校の児童生徒数等の推移

泉南市の小中学校の児童生徒数等の推移

泉南市の人口動向と将来推計による動向

国勢調査及び国社人研データから

泉南市の人口動向と将来推計による動向

泉南市の出生数の推移(各年3月31日現在)

泉南市の出生数の推移(各年3月31日現在)

(4)小中学校1年生の人数、クラス数の現状

泉南市立小中学校の児童生徒数やクラス数は、下表のとおりです。文部科学省によれば、標準的なクラス数は、小学校で2~3クラス、中学校で4~6クラスとされています。しかし、本市では、小学校10校のうち、小学校1年生で1クラスとなっている学校が5校あり、半数が単学級(1学年1クラス)の小規模校となっています。

小中学校1年生の人数・クラス数(令和3(2021)年5月1日時点)

小学校1、2年生は1クラス35人学級。他学年は1クラス40人学級。

小中学校1年生の人数・クラス数(令和3(2021)年5月1日時点)

(5)学校再編時の児童生徒数の推計

学校再編を行った場合、新たな学校を開始した時期における児童生徒数及び通常学級数の推計は、下表のとおりです。

学校再編時の児童生徒数の推計

(6)学校再編に必要な費用の試算

学校再編を行う場合に必要となる費用の試算は、下表のとおりです(単位:百万円)。

学校再編に必要な費用の試算

(7)小規模校、適正規模校

小規模校は、児童生徒一人ひとりに目が届きやすく、きめ細かな教育ができる一方、多様な考え方に触れる機会や集団活動の中で切磋琢磨する機会が少なくなります。
大規模校は、多くの友達や教職員にめぐり会え、人間関係が豊かになるなどのメリットがありますが、児童生徒一人ひとりの個性や行動を把握することが困難になります。また、教室や体育館等の施設面に余裕がなくなるなど、教育活動に制約を生じる場合があります。
学校教育を行う上での学校規模は、学習活動、集団生活、教育指導面などに様々なメリット、デメリットが生じます。学校を適正規模とすることにより、子どもたちの教育効果をより高めることができます。次表のメリット、デメリットは、一般的な傾向です。

小規模校のメリット、課題
  メリット 課題
学習活動
  • 児童生徒一人ひとりに目が届きやすい。
  • 異学年との学習活動を組みやすい。
  • クラス替えが全部又は一部の学年で実施できず、人間関係が固定化してしまう。
  • クラス同士が切磋琢磨する教育活動ができない。
集団活動
  • 学校行事や部活動等において、児童生徒一人ひとりの個別の活動機会を設定しやすい。
  • 意見や感想を発表できる機会が多くなる。
  • 運動会、文化祭、遠足などの集団活動・行事の教育効果が下がる。
  • 集団の中で自己主張をしたり、他者を尊重する経験を積みにくく、社会性が身につきにくい。
教育指導
  • 学習状況や学習内容の定着状況を的確に把握でき、きめ細かな指導が行いやすい。
  • 特別教室や体育館等の利用に当たって授業の割当や調整がしやすい。
  • 児童生徒から多様な発言を引き出しにくく、授業展開に制約が生じる。
  • 教職員同士が切磋琢磨する環境を作りにくく、指導技術の相互伝達がなされにくい。(学年会や教科会等が成立しない。)
適正規模校のメリット
  メリット
学習活動
  • 児童生徒を多様な意見・考え方に触れる機会や学び合いの機会を多く設けることができる。
  • 児童生徒同士の人間関係や児童生徒と教員との人間関係に配慮した学級編成ができる。
  • クラス同士が切磋琢磨する環境を作ることができる。
集団活動
  • 集団の中で切磋琢磨することを通じて、一人ひとりの資質や能力を伸ばしていくことができる。
  • 運動会などの学校行事や音楽活動等の集団教育活動に活気が生じやすい。
  • 様々な種類の部活動等の設置が可能となり、選択の幅が広がりやすい。
教育指導
  • 学級の枠を超えた少人数指導、習熟度別指導、学年内での教員の役割分担による専科指導等の多様な指導形態をとることができる。
  • 指導上課題のある児童生徒を各学級に分けることにより、きめ細やかな指導が可能となる。
  • 経験年数、専門性、男女比等についてバランスのとれた教職員を配置しやすくなる。
  • 「公立小学校・中学校の適正規模・適正配置等に関する手引(平成27年1月文部科学省)」参照

(8)泉南市立小中学校再編計画の検討段階と計画名称について

再編計画は、検討段階によって名称が変わってきますので、この表を御参照ください。

計画と検討段階
資料名称 検討段階
泉南市立小中学校再編計画<複数原案> 教育委員会会議において決定した「計画<複数原案>」です。これを市議会に報告し、市民に公表します。住民説明会等を開くとともに、市議会、市民、教職員、児童生徒から意見聴取します。
  • 公表:令和2年12月21日
  • 住民説明会:令和3年7~8月(コロナ感染症のため5か月遅延)
  • アンケート:令和3年4~9月(各対象分の全期間を掲載)
泉南市立小中学校再編計画<複数案> 住民説明会等での意見を参考にし、教育委員会定例会において、必要な修正や追加等を加えた「計画<複数案>」を作成します。これを市議会に報告します。
<複数案>の作成:令和3年予定
  教育委員会は、有識者等で構成される泉南市教育問題審議会に「計画<複数案>」の絞り込みについて諮問し、調査審議の結果を答申するように求めます。審議会では、これまでに出された意見を参考にして審議が行われます。
泉南市立小中学校再編計画に関する意見について(答申) 泉南市教育問題審議会は、審議の結果を取りまとめ、教育委員会に対し、答申を行います。内容は、最も良いと思われる案を一つ選択するものです。
泉南市立小中学校再編計画(案) 教育委員会は、答申を受け、教育委員会会議において改めて議論し、内容を精査の上、「計画(案)」を決定します。「計画(案)」について、パブリックコメントを実施します。
泉南市立小中学校再編計画 市長が招集する泉南市総合教育会議(市長及び教育委員会で構成)において、「市民からの意見」を参考にしつつ、「計画(案)」を基に協議し、市として最終決定した「泉南市立小中学校再編計画」を公表し、実行します。

(9) 泉南市立小中学校再編計画<複数原案>の内容について

参考として、泉南市立小中学校再編計画<複数案>を作成前の住民説明会を行った段階でお示ししてきた泉南市立小中学校再編計画<複数原案>の内容を掲載します。なお、各図の表現手法は、<複数案>と同じ手法で表現しています。

  • 図中の黄緑色で囲んだ範囲は、小学校でのバス通学検討範囲を示しています。
  • 東小学校は、<複数原案>A、B、C、D案の各期において在り方を検討することとしています。
泉南市立小中学校再編計画<複数原案>の内容

<複数原案>A案
計画期間終了時、最終的に4つの小中学校+東小となる案です。
複数案の検討段階では、4中学が残る案として採用されました。複数案のA案と同じ内容です。

泉南市立小中学校再編計画<複数原案>A案

<複数原案>B案
計画期間終了時、最終的に3つの小中学校+東小となる案です。A案と比べるとバス通学を検討すべき範囲がやや広くなります。
複数案の新B案は、この課題を解消するために検討されたものです。

泉南市立小中学校再編計画<複数原案>B案
<複数原案>C案
計画期間終了時、最終的に3つの小中学校+東小となる案です。バス通学を検討すべき範囲は上記A案と比べても広くなります。
複数案の検討段階で、C案は採用されませんでした。
泉南市立小中学校再編計画<複数原案>C案
<複数原案>D案
計画期間終了時、最終的に2つの小中学校+東小となる案です。
複数案の検討段階で、D案は採用されませんでした。
泉南市立小中学校再編計画<複数原案>D案

 

この記事に関するお問い合わせ先

教育総務課
総務係
〒590-0505大阪府泉南市信達大苗代374番地の4
電話番号:072-483-2581
ファックス番号:072-483-7306
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