市政運営方針

令和6年度市政運営方針

はじめに

令和6年第1回泉南市議会定例会の開会にあたり、私の所信の一端を申し述べるとともに、令和6年度の市政運営方針を申し上げ、議員各位並びに市民の皆様のご理解とご協力を賜りたいと存じます。

はじめに、本年1月1日、能登半島において震度7の大規模な地震が発生しました。被災された皆様方に心から哀悼の意を表するとともに、お見舞いを申し上げます。地震災害については、その発生をあらかじめ予測することは困難であり、大規模災害を想定した備えについて思いを新たにしたところです。

私は市長に就任して以来、持続可能な成長と市民一人ひとりの幸福の実現に向け、多岐にわたる施策を推進してまいりました。令和4年度には、改革の方向性を定め、令和5年度には、これらの改革をさらに具体化するため、行政運営の組織体制を再編・強化し、行政経営基盤の強化に重点を置いた取組を進めてまいりました。

任期の折り返しとなる令和6年度の市政運営については、これまでの取組をさらに推し進め、確固たる軌道に乗せる重要な年になるという考えのもと、特に成長戦略と政策目標の設定に重点を置いた取組を推進します。

一点目の成長戦略については、”稼ぐ”という視点をさらに推し進めるため、本市の資源を最大限活用するとともに、新たな可能性について引き続き模索してまいります。

地域の活性化や魅力の発信を通じて泉南市の認知度を向上し、ふるさと納税の伸長や企業投資を呼び込み、持続可能なまちづくりへと導くため、シティプロモーションや大阪・関西万博への取組など、地域の未来に向けた施策を展開します。これらの施策は、地域社会全体の発展を促すものです。

また、引き続き、DX(デジタルトランスフォーメーション)を推進することにより、市民の皆様にとってより利便性の高いサービスの提供を行い、公民連携により民間の知恵や技術を行政に取り入れ、より効率的で効果的な市政運営を目指します。

また、次代を担う子どもたちが健やかに成長し、その可能性を存分に発揮できる環境を確立することは、本市の長期的な発展に不可欠です。未来への投資として教育の質の向上や環境整備、子育て支援の充実、そして子どもにやさしいまちづくりへの各種施策を推進してまいります。

市民の皆様が日々利用する道路などのインフラを含めた公共施設の整備や更新に関しましては、民間活力の導入を含めた様々な手法を検討のうえ、将来にわたり市民満足度の高い良好な資産として次代へと継承していくための各種施策を展開してまいります。

二点目は政策目標の設定です。現在、本市を含めた自治体を取り巻く状況は、老年人口割合の増加や少子化の加速による人口構造の変化による生産年齢人口の減少が予測され、これまで市民サービスの前提としてきた人口規模や市税収入についても将来に向けて大きな変化が想定されるところです。

そのため将来にわたって持続的かつ安定的に市民サービスを提供していくためには、限られた財源や人材、施設などの資源をより一層、効果的かつ効率的に活用することが必要となります。既存の施策についてはその効果を丁寧に検証するとともに見直しを実施し、新たに導入する各種施策についても、あらかじめ終期を設定したサンセット方式による導入を図るなど、中長期的な視点でその目標と成果をしっかりと位置づけ、それぞれの施策においてサービスの受け手である市民の皆様の声をしっかりと聞き、市民ニーズを踏まえた政策目標を設定するための取組を加速させます。

それでは、これまでにお示しした私の重点とする取組や行政課題に絡めながら、総合計画の体系に沿って主要な施策をご説明いたします。

 

分野別政策1 『ひと』を育てる・輝かせる

分野別政策1『ひと』を育てる・輝かせるための施策・事業として次のとおり進めてまいります。

<人権尊重の推進について>

人権尊重の推進につきましては、令和4年度に実施した市民人権意識調査の結果を踏まえ、泉南市同和行政基本方針・推進プランの改定を行います。さらに、中学校区ごとに人権啓発事業を実施し、小学校区を越えた地域のつながりをつくり、差別や偏見のないまちづくりを推進します。

また、令和5年6月に策定した泉南市人権保育・教育基本方針及び同推進プランに沿った人権保育・教育を推進するために、学校園で様々な人権課題についての系統的な取組を進めます。

<男女平等参画社会実現に向けた環境づくりについて>

行政委員や審議会委員、市職員における管理職への女性登用を推進し、多様な人材が政策・方針決定の場に参画できる制度や仕組づくりを推進します。

<国際交流について>

国際交流につきましては、大阪・関西万博を通じて、姉妹都市であるフィリピン共和国ダバオ市と引き続き教育分野や観光分野においての連携を進めます。また、国際化に向けた方針を検討し、今後の国際化施策の基となる国際化ビジョンの改定を行います。

<子育てしやすい環境の整備について>

妊娠期から出産・子育てまで一貫して身近で相談に応じ、様々なニーズに即した必要な支援につなぐ伴走型の相談支援を充実し、経済的支援を一体として実施する出産・子育て応援交付金事業や、母子健康手帳アプリや妊産婦・多胎児家庭へのタクシーの利用支援を引き続き実施します。令和6年4月から不妊・不育症に悩む方への支援策として、不妊及び不育症の治療費などの費用の一部を助成し、安心できる妊娠・出産への支援を行います。

さらに、出産時のお祝いとして、生まれた時から長く使っていただける出産記念品をお渡しすると共に、出産後間もない時期の子育て家庭に対する家事・育児などの支援を実施する育児ヘルプ家庭訪問事業を引き続き実施します。また、公共施設を活用した子どもが遊べる拠点事業として、令和6年4月下旬に泉南市総合福祉センター内に乳幼児の遊びの広場「(仮称)SENNAN LITTLE PARK りるぱ」をオープンします。

また、安全・安心な保育を提供できるよう、保育の質の向上と保育環境の充実のための支援を行います。保育施設につきましては、市立浜保育所を民営化し、認定こども園として移転、新設し、令和6年4月から運営を開始します。

児童虐待の防止につきましては、迅速かつ適切な支援を図るため、専門職の研修などによる人材育成に努め、家庭児童相談室の機能を充実します。

子育て支援センターにおいては、土曜日・日曜日のひだまりルームを実施し、父親が育児に参加しやすい環境づくりを進めます。

子ども総合支援センターにおいては、身体や発達に課題がある子どもの生活や成長における課題について、子どもに関わる関係機関と連携し、専門的な立場から子どもが持つ力を十分に発揮できるように支援します。

<子どもにやさしいまちづくりについて>

子どもの最善の利益を第一とし、子どもにやさしいまちの実現に向けて泉南市子どもの権利に関する条例に基づく施策をさらに推し進めるとともに、子どもの権利の積極的な理解・認識とその共有・深化を図る研修制度の充実を図ります。

学校や家庭で悩みを抱える子どもの相談・支援の充実につきましては、子どもの相談救済機関を速やかに設置するとともに、現在調査が進められている第三者委員会における答申を踏まえ、関係部局が連携して取組を進めます。

また子どもの声を聴く体制の強化として、家庭・学校・友達にも言えない悩みなどを受け付ける子ども専用のフリーダイヤルの設置や、無料のハガキ封筒付きチラシを小中学校児童に配布し、子ども相談窓口の充実を図ります。

また、令和7年度を初年度とする第3期子ども・子育て支援事業計画につきましては、令和6年度に子どもを対象としたアンケートなどを行い、子どもの意見を踏まえて、計画を策定します。

<学校教育について>

学力向上につきましては、学力向上プランに沿って、全国学力・学習状況調査などの結果から児童・生徒の学力や学習状況などを把握・分析し、その改善を図るとともに、学力向上施策を推進します。その一環として、AIドリルを活用した家庭学習の充実、市独自の教育検査の実施、その結果をもって、大学教授や研究機関との授業改善に向けた連携などを進めます。これらを日々の授業作りや個別最適な学びに反映させるなど、エビデンスに基づいた教育の充実を図ります。

子どもたちが学校園生活で直面するいじめや暴力行為などの問題行動や不登校に対しては、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーなどの専門人材の活用や関係機関との連携により早期発見・早期対応の解決に努めます。

また、不登校の支援としては、各中学校に新たに校内教育支援員を配置し、不登校支援の強化を図ります。

教職員研修につきましては、学校教育アドバイザーなどを活用した教職員の資質能力の向上のため、校内研修や教科研究のさらなる充実を図ります。教職員の働き方改革につきましては、スクールサポートスタッフの充実や校務支援システムを導入し効率化を進め、長時間勤務の是正や負担軽減に向けた取組を支援します。

外国語教育につきましては、学校においてJETプログラムの外国語指導助手(ALT)を活用した言語活動の充実に向けた取組を進め、併せて国際交流員(CIR)の派遣を行うことで、市内の様々な団体や学校園における国際交流活動を促進します。外国にルーツのある児童生徒に対しては、安心して学校生活を送り学習することができるように、学校園での多文化共生の取組を推進するとともに、母語を話せる語学補助員の配置や相談事業の実施などを通して、細やかな支援に努めます。

学校施設につきましては、泉南市立小中学校再編計画に基づき、(仮称)西信達義務教育学校の建設に向け、事業者の選定を行います。また、小中学校特別教室の空調設備設置や、屋内運動場の空調設備設置に向けた設計を行うなど、良好な教育環境を確保するとともに、施設の保全と修繕に努めます。

学校給食につきましては、令和7年2学期を目途とした民間調理場活用による学校給食提供についての準備を進めます。

<居場所づくりについて>

青少年センターにおいては、子どもの声を形にしていくため、こどもスタッフを組織するとともに、困っている時、悩んでいる時に気軽に相談できる場所として青少年センターあり方基本方針に位置づけ、子ども・青少年の日常的な居場所として確立していきます。また、子どもが安心して遊べるように、埋蔵文化財センター、図書館、人権国際教育課などと連携を図り、各小学校に出向いて行う居場所づくり事業を引き続き展開していきます。

文化ホールにおいては、指定管理者と連携し、利用者の拡大に向け、利用料金を見直すとともに様々な文化や芸術に触れる機会を提供します。

<スポーツ振興について>

スポーツ振興につきましては、スポーツ推進委員や体育協会などの関係者と連携して、スポーツ活動の活性化を図るとともに、スポーツによる市民の健康増進へつなげていきます。また、泉南スポーツコミッション協会とともに、スポーツツーリズムの核となる事業として、タルイサザンビーチにおいて泉南オープンウォータースイミング大会を日本水泳連盟公認レースとして開催し、ワールドマスターズゲームズ2027関西に向けての機運醸成と、マリンスポーツの拠点としてタルイサザンビーチの活用による都市魅力の向上に取り組みます。

<青少年の健全育成について>

国際的規模及び全国的規模の競技会、コンクールなどに出場又は出展する本市の子どもたちに泉南っ子スポーツ・文化芸術振興奨励金及びオリンピック又はパラリンピック出場奨励金を交付することにより、スポーツ活動の推進、競技力の向上及び文化芸術の振興を図るとともに、全市民が一体となって泉南っ子を応援することで、市全体のスポーツと文化芸術に対する機運を高めます。

 

分野別政策2 『しごと』を生み出す・にぎわいを創出する

分野別政策2『しごと』を生み出す・にぎわいを創出するための施策・事業として次のとおり進めてまいります。

<農業・漁業の振興について>

農業・漁業の振興につきましては、担い手の確保と生産性向上や付加価値の創造を図るため、地産地消や新たな地域ブランド品の開発を推進するとともに、農業・漁業と観光をつなげた農業漁業体験やマルシェ開催などの交流による活性化など、新たな取組を検討します。農業公園につきましては、引き続き活性化について検討します。

<商工業の振興について>

商工業の振興につきましては、商工会と連携し、創業機会の創出・支援を行うとともに、起業創業事業者支援として、従来の空き店舗家賃補助事業を拡充し、初期投資に対する補助や、鉄道4駅周辺への支援強化を行い、商店街の振興と商業の活性化を促進します。また、ふるさと納税型クラウドファンディング制度を利用した支援事業を創設し、意欲のある事業者を積極的に支援して地域産業の振興を図ります。企業誘致につきましては、市内へ進出を希望する企業に対して支援策を継続するとともに、関係部局が連携して企業の誘致をさらに進めることにより、新たな雇用の創出と地域活性化に取り組みます。

<買物困難者対策について>

買物困難者に対する支援として、空き店舗や空き家の活用など地域商業の活性化を推進することで、にぎわいの創出を図るとともに買物困難者の生活利便性の向上に努めます。

<観光の振興について>

観光の振興につきましては、泉南市観光協会と連携し、市域の豊かな観光資源の魅力を多方面に発信するとともに、さらなる誘客に向けて広域連携による事業を推進します。

総合交流拠点施設につきましては、周辺のロケーションを有効に活かし、さらなる利用者の増加と本市の魅力を発信できるよう、施設の在り方、運営手法について検討を進めます。

 

分野別政策3 『くらし』を守る・快適にする

分野別政策3『くらし』を守る・快適にするための施策・事業として次のとおり進めてまいります。

<災害に強い地域づくりについて>

地域防災の中心となる自主防災組織につきましては、能登半島地震を踏まえ、地域のきずなの大切さや自主防災活動の重要性が改めて認識されているところですが、本市においては、令和5年9月に新たに1団体自主防災組織が結成され、また、令和6年4月にも1団体自主防災組織が結成される見込であり、地域における自助・共助の動きが広がりつつあります。本市においても、災害対策本部設置訓練等を通して、防災対策の現状を常に把握し課題を見つけながら、泉南市防災計画、泉南市事業継続計画の見直しなどを行い、能登半島地震を受け、災害備蓄品の検証や孤立のリスクが高い地区に対する防災対策の検討を行っていきます。

<ため池の保全と活用について>

近年、局地的な大雨や大規模な地震の発生などで、ため池が決壊することによる水害が日本各地で発生しており、地域住民の皆様がもしもの災害発生時に迅速かつ的確な避難を行うことが可能となるよう、また、日頃の防災・減災意識の醸成のため、計画的にため池ハザードマップを作成します。

<防災体制の充実について>

防災情報の伝達につきましては、防災無線の更新に向けての基本計画・実施設計を行い、防災無線と連動させた防災アプリの運用により情報伝達手段の多重化・多様化を図り、迅速かつ確実な情報伝達を推進し、市民や各種機関へ周知・普及を促進します。

大規模災害時の避難行動要支援者の災害対策につきましては、要支援者名簿の作成・運用・管理を防災部門と福祉部門の共同実施が可能となるクラウド型被災者支援システムを導入し、業務の効率化、適正な情報の管理と共有を図り、市全体として地域の各種支援団体と連携・協力して取り組める環境づくりに努めます。

消防・救急体制につきましては、泉州南消防組合のスケールメリットと能登半島地震被災地での緊急消防援助隊の活動をはじめとする、これまでの消防活動における経験や知識を最大限に活かし、地元消防団との緊密な連携を図ることで、より確実かつ迅速な消防力を投入できるよう取り組みます。

<防犯対策について>

防犯対策につきましては、市民の安全・安心を確保するため、犯罪の抑止を目的として、防犯カメラを主要交差点や犯罪の抑止に効果があると認める場所を中心に150台を目標に計画的に増設します。著しく増加している特殊詐欺に対しては、広報紙や市ウェブサイトを通じた注意喚起を行うとともに、市内の65歳以上の高齢者を対象に令和5年12月から自動通話録音装置の貸与を開始しました。引き続き、泉南警察署や防犯委員会など関係機関との連携による地域住民などへの啓発、青色防犯パトロール車による巡回をはじめ、地域との協働による防犯活動の推進に努めます。

<環境保全の促進・脱炭素社会の実現について>

従来の3Rを推進しつつ脱炭素社会に向け、より環境への負荷が少ない2R(リデュース、リユース)の優先を明確にした施策の拡充を図ります。また、食品ロスの削減や海洋プラスチックなどの発生抑制に努め、プラスチック使用製品廃棄物の分別についても関係団体と調整のうえ検討します。

ごみ焼却施設につきましては、引き続き関係各所と協議のうえ、新炉建替えに向けた検討を進めます。

<道路環境の整備について>

幹線道路の整備として、砂川樫井線の新家工区は早期供用開始に向けて工事の進捗を図ります。また、狭小区間の拡幅工事やバリアフリー化を目的とした歩道改修工事に取り組みます。既存の道路につきましては、地域道路網の安全性・信頼性を確保するため、道路舗装や橋梁修繕の個別施設計画に基づき計画的な補修に取り組みます。

また地域の拠点となる駅周辺の再生に向け、岡田浦駅周辺地区において移動環境などの確保を検討するため、バリアフリー法に基づく基本構想の策定に取り組みます。

<広域ネットワークの構築について>

関西国際空港を核とした広域ネットワークにつきましては、空港へのアクセスの利便性や安全性の向上に向け、関係機関へ引き続き要望活動を行います。

また、海上空港という特性に起因するあらゆる危機、国際テロなどによる緊急対処事案に備え、リスクマネジメントの観点からアクセス方法に冗長性を持たせるため、関西国際空港連絡南ルートの実現に向けた要望活動を引き続き実施します。

<下水道の整備について>

下水道事業につきましては、ストックマネジメント計画に基づき、施設の維持管理と改築を効率的に実施します。また、将来にわたって安定した下水道運営を目指すため泉南市下水道事業経営戦略を改定し、公共下水道の整備を推進します。

<公園について>

公園につきましては、公園施設長寿命化計画に基づき、公園施設の計画的な更新・修繕を行い、安全・安心な公園づくりを推進します。

さらに、公園を価値ある公的ストックとして活用するために、再整備・再編を見据えて策定中のパークマネジメントプランにおいて民間活力の導入を推進する方針が示された公園に対して、民間事業者参入意向調査を実施し、民間活力導入に向けて検討します。

<住まいの提供について>

市営住宅につきましては、住民が安心して快適に居住できるよう、市営住宅長寿命化計画に基づき予防保全的な維持管理を計画的に実施し、市営住宅ストックの有効活用に努めます。また、未耐震住棟の早期解消を図るため、建替事業を推進します。

空き家対策につきましては、改正された、空家等対策の推進に関する特別措置法に基づき、危険な空き家発生の未然防止及び特定空き家などの危険個所の除去や除却などの取組を強化します。また、周辺の生活環境に悪影響を及ぼしている危険な空き家を解体する所有者に対して、当該空き家を除却するための費用の一部を引き続き補助します。

さらに、危険な空き家を解体した所有者の空き家除却後の固定資産税などについて、除却後に高くなる税額分を減免します。

 

分野別政策4 『健幸』を築く・つながりをひろげる

分野別政策4『健幸』を築く・つながりをひろげるための施策・事業として次のとおり進めてまいります。

<安心できる医療環境づくり・健康づくりの推進について>

各種検診や生活習慣病発症予防、がん対策など、ライフステージに応じた健康増進に取り組み、市民の主体的な健康づくりを支援します。令和6年4月から肺がん検診における一部自己負担を無料とし受診率の向上を推進するとともに、がん患者に対して治療に伴う外見(アピアランス)の変化に対して医療用ウィッグ(かつら)や乳房補正具の購入費の一部助成を行うことで経済的負担を軽減し、がん治療と社会参加の両立を支援します。

国民健康保険につきましては、出産時において保険料の一部を免除する制度が令和6年1月から始まり、子育て世代の負担軽減を図っています。後期高齢者医療保険につきましては、引き続き高齢者の保健事業と介護予防などの一体的な実施において高齢者の特性に応じた保健事業を行い、将来的な介護予防及び医療費の適正化につなげます。

<地域福祉・高齢者福祉・障害者福祉の充実について>

地域福祉の推進につきましては、高齢・障害・子育て・若者支援など、属性や世代を超え複合する課題にも柔軟に支援する体制の整備を進めます。その一環として、地域福祉への理解を深めるため、福まちサポートリーダーを養成し、より一層地域に充足させることで、関係機関や事業者、また地域も含めて連携を強化していきます。時代に合ったほどよい関係の中で持続可能な地域づくりを整備することで、誰も置き去りにしない泉南市の構築を目指します。

高齢者福祉の充実につきましては、高齢化の進行を背景に増加するひとり暮らしの高齢者や高齢者のみの世帯など支援の必要な人やその家族が住み慣れた地域で自分らしい暮らしを生涯続けることができるよう医療・介護・予防・住まい・生活支援が一体となった、泉南市版地域包括ケアシステムである「WAO(輪を)!SENNAN」の推進を図り、地域共生社会の実現による、自分らしく活力ある長寿社会の実現を目指します。

また認知症の早期発見・早期対応のため、もの忘れ検診事業を実施し、市内の指定医療機関で認知症機能テストを行います。併せて、地域ごとにチームオレンジを整備し、認知症サポーターを中心とした支援をつなぐ仕組の強化を図ります。さらに、認知症の本人やその家族、認知症に関わる人たちと共に、(仮称)泉南市認知症条例の制定に向けた検討を行い、認知症になっても安心して住み慣れた地域で暮らすことができる取組を進めます。

障害者福祉の充実につきましては、令和6年度を初年度とする第7期泉南市障害福祉計画及び第3期泉南市障害児福祉計画を策定し、障害のある人やその家族が地域の中で安心して自分らしい生活を送ることができるよう、関係機関との連携のもと、相談支援体制の充実・強化として障害のある人の総合的な相談支援の中核的な機能を担う基幹相談支援センターの設置を検討し、引き続き障害福祉サービスや障害児通所支援サービスなどの障害者福祉施策を進めます。

 

総合的政策『しくみ』をつくる・運営する

総合的政策『しくみ』をつくる・運営するための施策・事業として次のとおり進めてまいります。

<市民参画・協働の推進について>

市民参画・協働の推進につきましては、市民の皆様とともに考えるまちづくりを目指し、市民ワークショップを開催します。アンケート方式による参加者の募集や幅広いご意見をいただくための実施方法などを検討し、新たな市民協働の仕組づくりに取り組みます。

<シティプロモーションについて>

持続可能なまちづくりを目指して、本市が持つ魅力を積極的に発掘・発信し、市民の愛着や誇りを醸成し、交流・関係人口を獲得するための取組となるシティプロモーション及びブランディングを推進します。1.誘客事業の強化、2.ふるさと納税の充実、3.公民連携の推進、4.企業立地の促進、5.情報発信の増強について重点的かつ重層的に取り組みます。具体的には本市を訪れる関係人口の創出・拡大を図るため、関係団体と連携して、シビックプライドの醸成とおもてなし環境の整備を進めます。また、SENNAN LONG PARKをはじめとする、本市の魅力あるコンテンツを題材として、臨海部から山間部にかけて様々なイベントを実施することで、積極的なシティプロモーションを展開し、市域全体へと幅広い誘客を図ります。さらに、新たな取組として、ビーチスポーツ・イベント開催支援補助金を創設し、様々なジャンルのビーチスポーツ大会を誘致し、地域活性化を図ります。

また、観光客の増加により本市の認知度を向上させ、企業立地・投資を促進し経済活動が活性化することにより、税収が増加し市民への還流を推進するといった、好循環サイクルを目指します。民間企業との対話を進め、win-winの関係で連携し、民間の技術・知見の活用による市域の地域活性化や社会課題の解決に向けた取組を進めます。

広報せんなんにつきましては、特徴的な施策などを積極的に紹介するだけでなく、自然・文化などの地域資源や地域で頑張り活躍している人にスポットを当てるなど、市民の皆様にまちの魅力の再発見や気づきがある情報提供に努めます。また、より身近に感じられるよう広報の刷新に取り組むとともにシビックプライドを高める取組を進めます。

市公式LINEにつきましては、気軽に活用できるよう基本機能を拡充し、情報発信の強化を図ります。

<万博について>

2025年に開催される大阪・関西万博に向け、市主催イベントなどに同万博を関連づけるほか、関係機関と協力・連携して機運醸成を図るとともに、同万博のレガシ―を見据え、地域の活性化に向けた取組を推進します。

<情報政策(DX)について>

泉南市DX(デジタル・トランスフォーメーション)推進計画の目指す将来像「デジタルでつながる人とまち」に即した取組を進め、デジタル田園都市国家構想交付金などを活用し、誰もがデジタルの利便性を享受できる、市民にやさしいデジタル化に向けた取組を推進します。職員一人ひとりが意識を変え、従来のやり方にとらわれず、デジタル技術を用いてこれからの時代にふさわしい事業構築を図り、市民に寄り添った行政サービスの提供を目指します。

<組織の適正化と人材の育成について>

内部統制制度導入から3年が経ち、さらなる制度の定着、職員の意識改革に加え、職場における財務に関するリスク事案の共有、リスク管理の徹底による、ミスの起こりにくい組織づくりに職員一丸となって努めます。また、包括外部監査では行財政に係る体制の整備と予算執行を見直す重要な機会と捉え、これまでの監査結果報告書を受けて必要な措置を講じるとともに、引き続き第三者の視点による財務に関する監査を実施することで、市民サービスの向上や市政への信頼確保に努めます。

また、ワークライフバランスの推進に加え、働きがいのある職場づくりを目指すとともに、市民の皆様に今まで以上に質の高い成果を提供できる職場を構築するため、組織として業務の効率化、マネジメントの推進、情報の共有化など全庁的に取組を進めます。

給与制度につきましては、年功序列で処遇が決まる制度から、能力・実績に基づく給与制度へ改革し、頑張る職員が適正に評価される人事給与制度改革を重点的に進めます。

人事施策につきましては、人材育成基本方針に基づき、職員の能力や個性の発揮と互いに成長できる組織風土の醸成のための取組を行います。また、多機能クラウド型人事情報システムの導入により、各職員の適性や評価及び職員採用に係る人事情報を一元的に管理・分析することで、人事管理業務の効率化を図るとともに、最適な人材配置や人材育成に取り組みます。

広域連携による事務の共同処理につきましては、泉佐野市以南の3市3町の枠組みを基本に、地域の実情や事務処理の効率化を考慮し、積極的に取組を進めます。また、人口減少などに伴う行政課題を踏まえ、都市のあり方についても議論を進めます。

<健全な財政運営について>

ふるさと納税につきましては、泉南市の魅力に加え、市内地場産品を積極的かつ効果的に発信することにより、さらなる寄附の獲得に取り組みます。

公共施設の再編につきましては、泉南市公共施設等最適化推進基本計画や最適化推進実施計画などの計画に基づき、事業計画年度、立地エリア及び施設が担う機能を基に施設の複合化・集約化を含め、今後の再配置の具体案の策定及び事業化に向けた検討を進めます。それに加えて、公共施設跡地に関しましては、関連計画を踏まえた統一的な活用方針を定め、効率的かつ効果的な活用などを図ります。また、(仮称)西信達義務教育学校建設に伴う西信達小学校の跡地につきましては、関係機関や庁内関係部局と連携しながら、民間活力導入を検討するとともに、地域ニーズを踏まえた有効活用の取組を進めます。

本市の財政運営につきましては、人口減少や少子高齢化、公共施設の老朽化など、本市を取り巻く課題の解消には至っておらず、引き続き中長期的な視点に立った財政シミュレーションに基づき、財政運営の計画性と透明性を確保し、将来負担をしっかりと踏まえた予算編成のもと、将来にわたり持続可能な財政運営を確立します。

歳入の根幹である市税収につきましては、安定的な財政基盤の確立のため、引き続き課税客体の確実な把握と適正な賦課を行い、貴重な自主財源の確保に努めます。

 

結び

以上、私の所信と令和6年度の市政運営の基本方針につきまして、ご説明いたしました。

ただし、政策を実行していくことは、当然、私一人でできるものではありません。これらの施策は、市民の皆様との協働によってのみ実現可能です。市民の皆様の声を大切にし、積極的に市政に反映させることで、皆様と共に泉南市のさらなる発展を目指します。

引き続き、市民の皆様や市議会の皆様、職員の皆様のご理解とご協力を賜りますよう、心からお願い申し上げます。

 

 

 

この記事に関するお問い合わせ先

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企画調整係
〒590-0592大阪府泉南市樽井一丁目1番1号
電話番号:072-483-0004
ファックス番号:072-483-0325
e-mail:seisaku@city.sennan.lg.jp
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