広報せんなん令和7年11月号特集記事(完全版)
広報せんなん11月号<インタビュー>
1. 100年の歴史をつなぐ製紙会社 ― 地域とともに歩む挑戦
山陽製紙株式会社(左から原田専務、原田社長、社員の方々)
泉南市が誇る「ええもんせんなんもんプレミアム」。今回は、約70年にわたり泉南市で製紙業を営みながらも、新しい挑戦を続けている山陽製紙株式会社(以下、同社と記載)をご紹介します。伝統を守りつつ新たな挑戦を続ける同社は、地域の自然と人々への思いを大切にしながら、独自の紙製品を開発しています。
2. 戦後の混乱から立ち直り、泉南の地へ
同社の歴史は昭和3年、広島県にて紙の販売を始めたのがスタートでした。「創業者は祖父なんです。広島の出身で、地元広島で紙の販売を始めたのがはじまりでした。」そう語るのは、三代目となる原田社長。同社のルーツは、広島県三次市で生まれた「原田大成堂」という文具店にあります。昭和初期、チリ紙などの日用品を扱いながら地元に貢献し、その後山陽製紙株式会社を設立。初代社長の営業力が発揮され、海外まで販路を広げていましたが、昭和20年の原爆ですべてを失います。戦争、そして原爆といった大きな苦難を乗り越えて「もう一度やり直そう」と決意し、泉南の地で工場を構えました。当時の泉南地域(泉南郡雄信達村)は、繊維や製紙など「水を使う産業」が盛んなまち。地下水が豊富で、紙づくりに適した環境が整っていたことが、泉南地域を選んだ理由のひとつでした。同社の原点となる泉南の工場が稼働し、戦後の復興と高度経済成長期の流れの中、セメント袋の口縫い用テープなどの工業用紙を製造し、日本の成長を支えてきました。
3.再生紙のその先へ

一方で、製紙業は水や電気をたくさん使う産業。だからこそ環境への責任を強く意識し、「循環型社会に貢献する」という理念を掲げています。50周年を迎えたころ、もう一度「自分たちは何のために紙をつくるのか」を見つめ直し、「工場の排水を徹底的に浄化し、きれいな水として川へ戻す」「再生可能エネルギーの導入」など、環境に配慮した経営に力を入れました。それに加えて、社員の自主的な活動から始まった「男里川の清掃活動」――最初はほんの小さなきっかけが始まりでした。会社のホームページに載せる写真を撮ろうと、社員が男里川へ行った際に、ゴミがたくさん見受けられたことがきっかけで掃除がはじまり、次第に地域の方々も加わっていきました。今では20年以上続く恒例行事に。地域の方と一緒に自然を守り育てる活動になっています。
清掃活動は基本は毎月第2日曜日(月によっては変更となる場合もあります)。市民や学生の方々の参加も増え、泉南の自然を守る輪が広がっています。
4. ええもんせんなんもんプレミアム認定商品について
再生紙雑貨「crep(ピクニックラグ)」
今回「ええもんせんなんもんプレミアム」の認定を受けたのは、再生紙雑貨「crep(ピクニックラグ)」。同社が製造する「工業用クレープ紙(crep paper)」を使用した商品で、紙なのに水に強くて破れにくい特性を活かし、アウトドアで活躍するレジャーシートやおしゃれな紙製品など、「紙」のイメージを覆す商品を生み出しています。
「自然をもっと楽しもう」というコンセプトのもと、国内のデザイナーと協働し、泉南の海や山をモチーフにしたデザインも誕生しました。実際に使った方からは「かわいくて、長持ちするのがうれしい」といった声も寄せられており、紙の可能性を広げる一品となっています。
5.今後のビジョン
                    原田社長
同社は2050年カーボンニュートラル達成を目標に掲げ、環境負荷のさらなる低減に挑戦中です。また、関西空港に近い地の利を活かし、海外へも発信できる泉南ブランドづくりをめざしています。「自然豊かな泉南で育った商品を世界へ届けたい」と社長は語ります。「これからも泉南の自然と地域の人々に感謝しながら、ものづくりを通じて社会に貢献していきたい」――社長の言葉には、50年、100年と未来に繋がっていく企業をめざす強い思いが込められていました。
6. 読者の方へのメッセージ
紙づくりの伝統と新しい発想、そして環境への思いから生まれた山陽製紙株式会社の紙製品。同社がつくるのは、単なる「紙製品」ではありません。そこには、自然への敬意と、地域への感謝、そして次の世代への思いが込められています。再生紙のやさしい手ざわり、デザインの楽しさ、使う人の笑顔――。どれもが、泉南のまちで生まれた「ええもん」の証です。
日常を少し特別に彩る「ええもん」を、ぜひ皆さんも手に取って確かめてみてください。きっと「紙ってこんなにおもしろいんだ」と感じていただけるはずです。
7.アドプトリバー「一緒に川を守りませんか?」
同社は、「男里川の自然を守る会」の皆さんとともに、川を守る「アドプトリバー」活動に参加しています。紙づくりに欠かせない水を大切にする会社だからこそ、川を守ることは大切な役割。社員がごみ拾いや草刈りを行い、きれいな川を未来へつなげています。「環境にいいことをしたい」「地域に関わりたい」――そんな気持ちがあれば大歓迎!興味のある方は「男里川の自然を守る会」のFacebookで次回の開催を確認の上、お気軽にご参加ください!
8.ドリカムスクール「学生の未来を描く授業」
同社はNPO法人JAEと連携し「ドリカムスクール」というキャリア教育に参加しています。同社の社員が先生役となり、市内小中学生と一緒に「未来の働き方」を考え、紙づくりや環境の話、仕事のやりがいについてリアルな体験を紹介。7月に泉南中学校で開催した際のグループワークでは「自分の得意なことをどう社会で活かすか」を子どもたち自身が考え、真剣に意見を交わしていました。地域の企業と学校が一緒になって未来をつくる、そんなチャレンジが広がっています。
この記事に関するお問い合わせ先
ふるさと戦略課
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