漂着アオサ等のアップサイクルに向けた共同研究
令和7年7月1日に締結した国立大学法人神戸大学、光オンデマンドケミカル株式会社、株式会社ヴァイオスとの四者共同研究契約に基づき、「漂着海藻やバイオ由来産業廃棄物のアップサイクルに向けた光ものづくり」に関する研究を実施しました。
研究の背景
泉南市では大量のアオサが砂浜に漂着し、海水浴や観光への深刻な影響が生じており、アオサの腐敗による悪臭も、観光拠点としての価値を損なう要因となっていました。
これまで回収されたアオサの一部は、乾燥・焼却処理が行われてきましたが、塩分や砂を多く含むため、焼却炉の劣化を招くなどの課題があり、より持続可能な処理方法の確立が求められていました。
研究の内容
(1)漂着アオサなどのバイオガス化及びバイオ液肥化
→株式会社ヴァイオス
(2)バイオガスの光オン・デマンド有機合成による有用化学品の合成
→神戸大学・光オンデマンドケミカル株式会社
(3)社会実装に向けた実証、制度検討、地域連携等
→池田泉州銀行、泉南市

研究の成果
世界初!漂着アオサ由来のバイオガスからポリエステルの原料となるイソシアネートの合成に成功!
(1)漂着アオサなどのバイオガス化
タルイサザンビーチで回収したアオサや生ごみなどからバイオガスの発生を確認。目標バイオガス発生量100N㎤/日に対し、実際のガス発生量は、23.9N㎤/日となり、ガス発生量は少ないながらもバイオガスの発生が確認されました。
(2)バイオガス発生時に得られるバイオ液肥の成分検査を実施
今回得られた液肥の成分は、窒素(N)=0.18、リン(P)=0.05、カリウム(K)=0.14となり、比較的カリウムの多い液肥が得られることが判明しました。
注)試験機での液肥の成分となるため、安定した条件であれば、成分内容は変化します。
(3)漂着アオサ由来のバイオガスから高付加価値化学品の合成
漂着アオサ由来のバイオガスから、ポリウレタン原料や医農薬原料として使われるイソシアネートやクロロ炭酸エステルの合成に世界で初めて成功しました。

注)本研究により生成されたイソシアネート(写真左)とバイオ液肥(写真右)
泉南市における実証事業について【株式会社池田泉州銀行】 (PDFファイル: 984.4KB)
漂着アオサなどのバイオガス化及びバイオ液肥に関する報告書【株式会社ヴァイオス】 (PDFファイル: 1.4MB)
漂着アオサ由来のバイオガスから高付加価値化学品の合成に関する報告書【光オンデマンドケミカル株式会社】 (PDFファイル: 9.5MB)
今後の展望及びスケジュール
漂着アオサからの有用化学品の生成可能性が確認できましたので、泉南市内で発生するアオサ以外の物も活用し、スケールアップを目指していきます。
具体的には、令和8年1月から10月を目途に、本市し尿処理施設である双子川浄苑にて、株式会社ヴァイオス社オリジナルの「MFS/Methane fermentation system(メタン発酵システム)」を設置し、バイオガスの継続的な捕集を実施します。捕集したバイオガスを神戸大学内に整備予定の光ものづくり拠点に輸送し、有用化学品の量産化の可能性を検証してまいります。
また、安定的なバイオガス発生のために漂着アオサだけでなく、泉南市内で発生する給食残渣等を活用し、より多くのステークホルダーとの協力も進めて参ります。
プレス提供資料
この記事に関するお問い合わせ先
連携戦略課
公民連携担当
〒590-0592大阪府泉南市樽井一丁目1番1号
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