戎畑遺跡(えびすばたいせき)

(写真)戎畑(えびすばた)遺跡の調査風景

泉南市樽井周辺

戎畑(えびすばた)遺跡は泉南市の北西部、樽井(たるい)小学校のすぐ南側にある遺跡です。1996年に行われた発掘調査では、主に13世紀代に属する掘立柱建物(ほったてばしらたてもの)や土坑(どこう)、溝といった多くの遺構(いこう)が確認されました。発掘調査では足の踏み場もないほど遺構が密集して見つかった地点もあり、戎畑遺跡の集落にはたくさんの人々が暮らしていたことが明らかとなりました

(写真)戎畑(えびすばた)遺跡のタコツボ窯

もっとも注目されるのは、タコツボを生産するための遺構がたくさん見つかったことでした。素材となる粘土を採る大きな穴や作業場と考えられる掘立柱建物、さらに製品として焼き上げるための多くの土坑、さらには本格的な構造を持った「窯(かま)」も見つかっています。
窯は長細い土坑の中央に、2本の台をそなえ、効率良く製品を焼き上げる工夫がなされています。このような構造を持つ窯は「ロストル式窯」などと呼ばれ、奈良時代以降の瓦窯(がよう)によく見られるものです。しかし、戎畑遺跡では瓦を焼いていた形跡はなく、タコツボばかりが出土することから、初のロストル式タコツボ窯であるとわかりました。このように戎畑遺跡は本格的なタコツボ生産の様子が非常によくわかる、 世界的にも貴重な遺跡 であることがわかりました。

(写真)戎畑(えびすばた)遺跡の遺構

集落に住まう人々のとむらいの様子が具体的にわかる多くの土壙墓(どこうぼ)や、火葬(かそう)に用いたと考えられる特殊な施設も見つかりました。それらの遺構の中には、平安時代終り頃の和鏡(わきょう)や、遠く東海地方より運ばれてきた陶器などが手向(たむ)けられているものがあります。これらもまたムラの有力者のために埋められたものではと考えられるのです。

(写真)戎畑(えびすばた)遺跡の和鏡(わきょう)

この鏡は12世紀末~13世紀はじめに制作されたものと考えられます。直径9.5センチ、厚さ1.5ミリの青銅製(せいどうせい)のものです。写真にみえるのは鏡の裏面にあたり、菊花や州浜(すはま)と考えられる文様が表されています。戎畑遺跡では土坑の中から見つかりました。今のところ市内の遺跡から見つかった青銅鏡としては唯一の例となります。

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